公開日:

Feb 12, 2025

【妄想デジファブスタディ】螺旋階段をデザインする

建築とデジタルファブリケーションを組み合わせた新しい可能性を探る「妄想デジファブスタディ」シリーズを始めます。今回は、EMARFを使用して螺旋階段をデザインする方法をご紹介します。

はじめに

デジタルファブリケーションの技術を活用することで、これまでは専門業者に依頼する必要があった建築要素も、自分でデザインし製作することが可能になってきています。今回は、その一例として螺旋階段の設計・製作プロセスを解説していきます。

必要な知識と工具

  • 建築基準法の基本的な知識

  • Rhinocerosの基本的な操作方法

  • EMARFプラグインの使用方法

EMARF DocumentEMARF公式ドキュメントdocs.emarf.co

製作の概要

この螺旋階段は以下の特徴を持っています:

  • 材料:24mmラワン合板をメインに使用

  • 構造:ボックス形状による強度確保

  • 組立:ほぞ組みとビス留めの併用

  • 中心支柱:単管パイプを使用した堅牢な構造

以下、具体的な設計手順と製作方法を詳しく見ていきましょう。

※本記事の制作物は加工、組み立ては可能ですが、実際に構造計算はしていないので参考としてお考えください。

①平面図を書く

建築基準法に則って「建築基準法」において階段の各部の寸法が定められています。

住宅の階段は
蹴上 23cm以下
踏面 15cm以上
幅  75cm以上 です。

螺旋階段の場合は、狭い方の端部から、30cmの位置が踏み面になるので、
今回は下記のような螺旋階段を想定してみます。

踏面 177mm
幅750mm
高さ:2,520mm
蹴上:180mm

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真円でもいいのですが、今回はシンプルな箱形状の階段にしようと思うので、直径1,700mmの14角形をを作り、踏板は、台形形状とします。

②部材の厚みを計算する

今回中心の芯材以外は、EMARFで合板から制作することを想定します。
材料はホームセンターなどで手に入る24mmのラワン合板とします。

赤線のような感じで蹴上部分の材料厚みを線をオフセットして作成します。オフセットした線と、元の踏板線を通るような紫の線を新たに引き直します。

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この紫の線を重ねていくことで、蹴上分の厚みが考慮された平面にすることができました。

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③3Dに立ち上げる

一段目の踏板と、蹴上を3D化(ExtrudeCrv)します。

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これらを反復するだけで螺旋階段らしきものはできますが、このままでは構造的に成立しなさそうです。蹴上・踏み板をボックス状にして構造的な補強をしてみます。

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④構造検討 ボックス形状にする

蹴上部分が少し飛び出たユニットをそのまま階段上にコピーしていくことで、箱状螺旋階段を作れそうです。

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⑤接合部をつける

さきほど作ったボックスを全て選択してEMARFプラグイン※のEmJointHozoコマンドを実行します。詳細設定で、ほぞの本数を1~x本で変更が可能です。今回は最終的にはビスで剛性を確保することを考え、ほぞは組み立て時のガイドとなれば良いので1箇所にしました。

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⑥構造検討 支柱を立てる

階段をより強固にするために、単管で支柱を立てて、その周りに取り巻くように階段ボックスを積層していきます。円形の部品は、24mm5枚(紫)と、12mm1枚(赤)でちょうど1段分の高さになります。これを重ねて螺旋階段はほとんど完成です。

▶︎固定ベース
▶︎Φ48.6mmx2.5m 単管パイプ(4本)

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⑦平面に部品を展開する

14段積み重ねて箱状の螺旋階段が完成です。最後に、この階段をEMARFで加工できるようにEmAlignコマンドを用いて平面に並べます。
24mmの合板が14枚と、12mmの合板が1枚で加工ができそうです。

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⑧WEBにデータを入稿する

平面に配置したデータをEMARF WEBに入稿します。※事前に会員登録(ログイン)しておく必要があります。
1. EMARFプラグインの右側にあるEMARFアイコンをクリックして、入稿するデータを選択してください。
2. フォームが出てきたらフィレット形状を選択して、3のEMARFに送信ボタンを押してWEBにデータを送信します。

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EMARFのWEBでは部材の細かな配置や、材料の設定が行えます。詳しくはこちら。画面を進んでいくと、データに問題がなければ加工見積り画面に進むことができます。

今回の螺旋階段は、材料費+加工費+システム利用料でおおよそ、35万円程度になりそうです。ここに、部材の輸送費や、単管パイプなどが加わるのでおおよそ40-45万円程度でしょうか。

今回手すりはデザインしていないので、手すりを追加するともうすこしかかりそうですが、なんとなく良い金額感になったと思います。

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⑨おまけ(データあり)

今回階段部分をシンプルにするために手すりはつけませんでしたが、建築法規上階段には手すりが必要です。箱階段の端部は余白が残されているのでぜひいろんな手すりをデザインしてみてください。

螺旋階段 | EMARF CAD -自由な表現が、現実になる-以下の特徴を持った螺旋階段です。 そのままEMARFで加工することができます - 材料:24mmラワン合板をメインに使用app.emarf.co

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▼今回、設計にあたり以下のサイトを参考にしました。

CNC Spiral Staircase | benuyedawww.benuyeda.com

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