公開日:

Apr 9, 2025

木+〇〇ー異素材と木の心地よい関係性

これまでShopBotによる異素材加工や、刃物の使い分けによるShopBotの様々な加工の種類をご紹介してきましたが、今回は「木+〇〇」をテーマに事例を紹介します。木と組み合わせることで生まれる木材のぬくもり+αの可能性を考えるきっかけになると嬉しいです。

① 木+リノリウム

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Photo Hayato Kurobe

ひとつ目は、札幌市にある中大規模木造建築ブランド「with TREE」のプロジェクトとして生まれた、コワーキングスペース『TREE BASE』の事例です。

この空間は、木質ハイブリッド集成材を使用した、木のぬくもりを存分に感じられる設計を特徴としており、中大規模建築における木造化・木質化を通じて、脱炭素社会を目指すという大きなビジョンに基づき、内装には多様な木の表現が取り入れられています。

そのなかでShopBotで製作したのが、異なる高さと形状を持つモジュールユニットを組み合わせた「タウンユニット」。吹き抜け空間に設置されたこのユニットは、3種類の高さの異なるブロックを組み合わせて構成されており、自然と人が集まり、会話が生まれるような“まち”のような雰囲気をつくり出しています。

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Photo Hayato Kurobe

そしてこのユニットの天板に使用されているのが「ファニチャーリノリウム」。天然素材を主原料とするリノリウムは、マットでやわらかな手触りと優しい色合いが魅力。木のあたたかさに加え、触れたときの心地よさや落ち着いたトーンを加えることで、親しみやすさを感じる空間に仕上がっています。

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Photo Hayato Kurobe

さらに、オフィス内には自由に組み替えられるパズル型のテーブルや、3D切削によるボロノイ模様のキッチンカウンターも置かれています。木+リノリウムを主役に、多様な木の表現を取り入れた空間となりました。

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Photo Hayato Kurobe

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Photo Hayato Kurobe

② 木+LGS(軽量鉄骨)

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Photo Hayato Kurobe

ふたつ目の事例は、Route Design合同会社が運営するコワーキングスペース「PILE」での空間デザインと内装家具づくりです。
ここでは、建築の下地材として一般的に使われるLGS(軽量鉄骨)を、あえて“見せる”構造として活用。家具のメインフレームにLGSを使用し、その接合部に木のパーツを組み合わせるという新しい試みにチャレンジしました。

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Photo Hayato Kurobe

ShopBotによる加工で精密に仕上げた木のパーツは、接合部の形状を工夫することで、他のプロダクトや構造物へも柔軟に応用可能な仕組みになっています。鉄と木という異なる素材が、それぞれの良さを損なわずに組み合わさることで、空間に独特のリズムが生まれています。

また、この空間の特徴は「つくりきらない」こと。建築の一部にはLGSを表しで見せる部分をあえて残すなど、仕上げの余白を設けることで、利用者が自由な発想でアップデートしていけるような、ひらかれた設計がなされています。木のあたたかみと鉄の構造的な強さが共存し、そこに人の手が加わる余地を残す。そんな“余白のあるデザイン”が、このプロジェクトの核となっています。

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Photo Hayato Kurobe

おわりに|異素材との組み合わせで、木はもっと自由になる

木という素材は、それだけでも十分に魅力的ですが、異なる素材と組み合わせることで、その魅力は何倍にも広がります。

リノリウムの柔らかな触感や、LGSの構造的な可能性など、今回は2つの事例をご紹介しましたが、ShopBotのようなデジタル加工機を活用することで、精度の高い接合や造形が可能になり、様々な素材との組み合わせの可能性が見えてきます。

ぜひこの記事をきっかけに、木+αのアイデアに考えをめぐらせていただけると嬉しいです!

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